あかいはな

じぶんに”それ”がさいていたこと
…そのばでは、まったくといっていいほど、きづかなかった

討ち取られた狼帽子を見る限り
この帽子の結末と、俺は大差なかったことだろう…

自分で告げたこと、ひとつ、ふたつ
口を突いて出たその言葉を…俺は、結果的に守りきれなかった
実力差も、戦況差もあったことだろう
怪我と引き換えに守り通したのは、己の命くらいかもしれない…


でも、気持ちが、考えが、上手く纏まらない……
……ぼーっと、する…
すごい数の打ち身が気にならぬほど、ぼー…っとしているようだ

それも、そうだろう…
旅団まで、自室まで戻ってみれば…あのジュウラでさえ、目を見開いていたのだから

俺が今まで、ここまで深手を負って帰ってきたこともない…
しかし、彼女の奮戦を、…この目で見続けられなかった事がどうしても悔やまれる
彼女の怪我は、大丈夫だろうか…
…………帽子の血染みを、上着の血染みを落としたら
見舞いに、訪ねに行こう

黒いのも、ジュウラも、あいつらなら動くなと、止めてくるかもしれないが…
いままでだって、そうだった
闇に乗じて、こっそり抜け出そう…だいじょうぶ、俺の誓夜なら
きっと、やってのけてくれる……(言葉はここで途切れている)