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いつかあの空へ…

TWの片隅で不定期に更新予定。ある獅子の記録…。

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たんじょうび


秋の季節感に囚われず、夏の名残に惑わされない
…そんな、記念日の話。







「……んで?」
黒い同居人はいつも唐突に声をかけてくる。
俺の事情も構わず、唐突に。

『……』
「おいおい、白いのー。無視すんなよ!」

騒がしく、そしてしつこく唯一の事柄を訪ね続ける。
その心はひとつ、今日という日の重要な事柄を、笑い話にしたいのだ。

『…お前に、報告する義務はないだろう?』
「そりャあ、違いねェけどよォ…教えるだけならタダだろ!な、俺とお前の仲だろ?」
『断る』

奴が問う質疑の内容自体、あまり答えたくなかった。
他の皆から聞かれたのと、奴が問うのでは話が違うんだ。
にやにやと、笑っていた奴の顔色がすっ、と曇る。
俺が少々、頑な過ぎたのかも、知れない。



「…ッたく、冷てェなァ。俺様なりの、優しさだッつーのに」
ガリガリと、乱暴に頭を掻いて、奴は言った。
「お前さんの誕生日を、俺が一番に祝うのはお門違いだと思ッたから聞いてやッたのによォ」




黒いのが始終問い続けていたのは【大事な人に、祝ってもらったのか】
俺はあーだこーだと言われるのを避けていただけだったのだが…

『お門違いでは、ないだろう』
「あ?」
『……お門違いだと、誰が決めたんだ』
「……えーと……」
『祝われるのを、嫌がる俺に、みえるのか?』

「あーあー。てめェはもう少し、言葉を崩して喜べッての!」
『男に祝われて喜ぶものか』
「言ッてる事がさっきと違ェじャねェかよ!!」
『ふふ、冗談だ。ありがとう……ライソウル』



寝て起きて、顔を合わせて無駄話を交わしてまたあした。
しかし、俺の日はまだ終わっていないから……。
黒いのが嫌だと言うまで、俺のリサイタルを開催しよう。
俺の日が終わっても……宵が霞む、その時まで。
感謝の旋律を、音に乗せて、吹き鳴らそう。
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プロフィール

HN:
ゼルガ
性別:
男性
趣味:
読書
自己紹介:
弓を愛する、白い獅子。
帽子を愛する、白い狼。
同居人、黒い犬。


白の住人は、気まぐれ無口
…喋るときは良く喋るケド。
唯一共通するのは
両耳の一対の紅いカフス。

黒の住人は、気まぐれ遊び
戯れに、そして、戯れに。


狼姫荒哉(銀雨)
狼姫兎斗(サイファ)

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