それでもそれは、みえるから

悲しい声、瓦礫、燻ぶる煙
……見えて、聞こえるものは、虚しいものばかり

俺の両親は結論から言って、見つからなかった。
埋まったのかもしれないし、運良く巻き込まれなかったのかも知れない。
曖昧だらけで、安心出来る要素は……なかったとも言える。

見覚えのある地域も全て、瓦礫に変わり
覚えれない光景へと変わってしまった事、これが現実なのだろう。


…俺の持ち物は、数点見つけた。
昔、大事にしていた古い本、数年前に購入した本、本、本……
本しか俺にはなかったが…俺が此処に居た証拠は確かに見つけた。









近場の瓦礫を少しでも、片付けて皆のもとへ帰ろう。
…少々、薄情かもしれない。
「……狩猟の掟、その３。仲間の生死不明は、辛抱強く待つ事」
【探し歩いて自分を危険に晒すなら、信じて待て】
父親の教えを、こんな時に思い出すとは…思いもしなかった。



「生きていれば、俺を探し出して、……会いに来るだろう」
俺は、死なない。…希望という、目印にでも、成り続けよう。