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いつかあの空へ…

TWの片隅で不定期に更新予定。ある獅子の記録…。

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子守唄と調べ


静かに、静かに本を読んでいただけだった
…いつもと何も、変わらない


だが、日常の空間は些細な事で変化する…


ぺらり、ぺらりと本を捲り…
次の章が始まるまで、あと少し
この本が彩るファンタジーも、そろそろ転機が出てくる頃合だろう
読み進めていけば分かる事だが、昨日購入した本を
即日で、しかも…徹夜で読むのは流石に無謀か

「今日は、此処までにしておくか……」

栞を挟みこみ、本を閉じる
本棚に戻さず、身近な床にさり気無く置く
時間帯を把握していないが、明かりが必要ではないあたり…
…もしかしたら、既に徹夜をしてしまった後かもしれない
読み始めたのは、昼だったはずなのだが
今は夕方か、それとも朝か…


『今日はソウジたんが見当たらない!よって、ゼルガの生態調査を行う!』
元気良く、そして乱暴に扉が開く
小柄ら金髪が、そこにあった
『…全く』
ややふんぞり返りながら入ってきたその存在は少女
相棒と良く遊び遊ばれている闇の城の主だ
遊び相手を既に狩った後なのか、後方にはジュウラ(c14113)の姿が見えた
「……生態調査、ですって」
お供と化したジュウラの声色は、普段にも増して眠気を噛み殺しているように思える
しかし、保護者にでもなった気分なのか
日頃見ることのない、優しそうな表情を浮かべているようでもあった
明日は……槍の雨が降るかもしれないな


「…俺を調査しても、何も楽しくは無いと思うのだが」
一応言葉を返すが、黒い奴が最近俺の部屋を勝手に片付けなくなったからか
前と同じくらい、部屋が本に塗れ過ぎている
見方によっては部屋の図書館化が進んでいるわけだが
旅団内に生息している猫達が、我が物顔で色んな場所を引っ掻き歩く辺り
やはり、普通の図書館とも違うのだろう


『面白いかどうかは、私が決めるので何も問題は無い!』
ジュウラがさり気無く本を除けて、自分のクッションを置いて
既に寝る体制になっている
それについてはあえて触れない…何処に居ても、問答無用で、寝ているものな
「……エヴァのお供は既に職務怠慢だが、良いのか?」
『それについても想定済みだ。だから、生態調査を兼ねてゼルガの部屋に侵入しようと…』
ちゃっかりジュウラの膝を借りて、寝そべるエヴァ
「……他人の部屋で昼寝、の間違いじゃないのか」
何を言っても立ち去りそうに無い二人に、白と黒の膝掛けを貸し出す
『まぁ、そうとも言う』





「この通り、俺の部屋には本と猫が大半だが」
『そのようだな』
ジュウラからの応答は既に消えている
意識からのログアウトが異様に早いので
寝ているのか、堕ちているのか、判断が難しい
『…?あれは楽器か?』
寝そべった体制から、エヴァがふいに本棚の一番したを指差す
そこにあったのは、本と本を無造作に隔てているフルートに違いない
「…そう、フルート。あれは2代目だ」
初代と三代目は丁寧に手入れを行って、机の引き出しに隠している
『楽器、吹けるのか?』
「………まぁ、明かさない特技の一部だ」
二代目は、楽器とそりが合わなかった
変な癖があり、手入れにすら頻繁に問題を抱えるほどで
俺の性格に音色が合わない、攻撃的音色を奏でる



無言になったエヴァに視線を向ければ
欲しいものを見つけた子供の様なキラキラした目でこちらを凝視していた
「…………」
どの言葉を返そうかと、思案している内に狼姫が楽器ケースを銜えてこちらを見上げている
揃いも揃って、面白そうだから聞いてみたい…そんな願望が強すぎないか?
自分に少し、苦笑いを零しながらも楽器ケースを受け取り
冷気を放つアイスレイピアを、そっと、足元に置きながら
唯一何も置かれていない椅子に深く、深く腰掛ける
「……」
それでも、やはり、言葉を紡ぐ事は出来なかった




初めの音は、カラスの縄張り争いの様な音
少し音を探って、やっと小鳥の囀りの様な音へと変わる
自由な音を、歌に合わせる方が得意なのが…
生憎、即興では……

「……♪」

ぐるぐると、考えながら音を探って…
適当に吹いていた音色は、既に何かの曲を吹いていたらしい
…眠っていた筈の狐が、子守唄を優しい声色で詠っている


「…そうか、この曲は…」

少し長い、ゆっくりとした曲調の一曲が終わると
すぅすぅと寝息が部屋に複数漂う
人間が2人と、数匹の猫が夢の世界へ旅立ったようだ




「…………故郷の、思い出か」
ーーーーーーーーーーー



3ピン完成から、随分と日が経っていた…からな
少しくらいSS的何かを語ってみたくなった
…ただ、それだけだ

アクスヘイムを発ってから……そう、あれから、少し髪が伸びた
一番長い部分で、肩よりも長い箇所があるかもしれない
夏も近いし、そろそろ切る事を検討しないとな…
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プロフィール

HN:
ゼルガ
性別:
男性
趣味:
読書
自己紹介:
弓を愛する、白い獅子。
帽子を愛する、白い狼。
同居人、黒い犬。


白の住人は、気まぐれ無口
…喋るときは良く喋るケド。
唯一共通するのは
両耳の一対の紅いカフス。

黒の住人は、気まぐれ遊び
戯れに、そして、戯れに。


狼姫荒哉(銀雨)
狼姫兎斗(サイファ)

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