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いつかあの空へ…

TWの片隅で不定期に更新予定。ある獅子の記録…。

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黒狼の片翼

俺様自身の設定を固めたものをあげる前に…
ちと、なげー昔話でも聞かせるかねェ


修正箇所はあやふやだしよォ、見れたモンじャねェかもしれねェが
…そこは、愛嬌ッてことで見逃してくれや

書き上げるのに半月は、掛かッてるんだからなァ!
話続きは、別の奴の日記に張るしかねェな!
何故か見てる視点が違うし、主人公すら俺じャないしよォ…
なんて面倒な事したんだ、背後ッてーやつは……


俺様は、ただそこに居て
そこに居た存在だッた――…
 
 
 
 
 
誰にも見せた事のない、首に付けられた複数のドックタグ
それはいまや、人の目に触れないようにと…手首にアクセサリーの一部として持ち歩いている
そのドックタグには、俺の個人情報が書かれていた
タグの情報だけが、幼い日の俺の過去を表していたが、忌み嫌われるものでもあッた
 
『ライソウル・ウィングハート』『狂刃街』『忌み子』『呪われし炎』
 
歳を重ねる事で、俺はさまざまな事を理解した
俺の生まれたらしい町、通称『狂刃街(キョウジンガイ』
そこで生まれたモノは、身分を証明するもの…
どんなアクセサリーでも良いから、名と生まれとを刻まれたモノを所持する
 
俺のドックタグは…
ひョッとしたら、人として扱う事がないという意味の表れだッたかもしれねェなァ
 
それは、誰からの記憶からも、抹消された町
アクエリオでも、エルフヘイムでも、東方でも…アクスヘイムでもない
どこまでも、辺境の地で、認知されない小さな町だ
 
過去にはジャンクストリート、塵屑の町、と呼ばれたときもあッたそうだ
『狂刃街』とは名ばかりで、本当は恐持てのイノセントしか住んでいない
ただ平和な、暗闇の町でしかなかッたのだが…理解されなかッた
 
この街には…
身内の不幸を瞳越しに見抜き、近々「死する」ことを告げた男が居る
最愛の犬がマスカレイドと成り果てて、主人を食い殺す「エンディング」を囁いた女が居る
エンドブレイカーだという主張は、今もそして過去も一般人には信じられない
確かに、事件としては確実に起こっていたが、事前に知り、教えた狂ッた住人の集まる町と恐れられ
気が付けば、物騒な名前がこの街を象徴してしまッた、ッつーのが街の由来
 
 
 
俺はその、狂人どもの集まる町の生まれ
恐持てなツラの大人が闊歩する、なんて事を考えなければ普通のありふれた街
星霊術士として、色んなモンの勉学に励んでいたのは……何歳までのことだッけなァ
街で唯一の術士だッた俺は、更なる情報を求めて色んな本を読み歩いた
 
 
 
 
 
しかし幼い6歳の俺は…冷静さを持つ反面『忌み子』として恐れられた
もッと幼い時から呼び出す事が出来た星霊バルカン
 
不意にマスカレイド事件に関わり、バルカンの放つ火炎弾で…
負傷した一般人の大人とを複数人のエンドブレイカーを皆殺しにしたらしい
その日から、俺のドックタグは数枚追加された
複数のタグは、犯罪者の証だと…気づいたのは、随分と最近の話だが
 
 
 
 
「なぁ、お前に客人が来ているぞ」
事件を引き起こし、犯罪者となッて数日後の話
「あァ?…俺様にャー知り合いなんていねェよ」
話しかけてきたのは、多分、親父。名前は知らねェな、何に名を刻んでいたのかも知らねェ
子と親とが、暮らす習慣はこの街にはないようだが…親父は俺を匿うように、光さえない部屋に閉じ込めていた
「お前の落としたモンが、あッたんだッてよ。いいから、出て来い!」
首根ッこを捕まれ、ズリズリと引き摺られる
よくある事、決して気にしない
 
『お前が、ライソウル・ウィングハートか』
客人は、鎧兜が似合う長身の男。兜の両脇には雀の羽みたいに小さな羽根が付けられていた
「だッたらなんだんだよ」
『出頭してもらうぞ、お前にようがあるからな』
ぐいッと、右肩を捕まれる。結構パワフルなおッさんだッた
「あー…いいぜ?退屈してたんだァ」
幼き日、この日が狂刃街で過ごした最初で最後の記憶だッたかも知れなねェ
 
暫く無言で歩いた後に、男はこちらを向いて呟いた
『俺が城塞騎士だと、理解して付いて来てるのか』、と
「…アンタ、俺様を殺しに来たんだろォ?俺は見境無しで全てを壊すからなァ」
『そんな業務に反する事が出来るか、馬鹿者。お前は俺と旅をする。そして数日間の自由時間を過ごした後に、投獄すべし、との指令が下っているからな。』
背中に翼を模した、紋章が刻まれたこの男は、指令を忠実にこなす存在のようだ
「へェ、騎士ッてのは忠実で、忠実なもんだッて認識だッたんだ。間違いじャなくてよかッたゼ」
へらへらッと笑ッて、顔を見上げれば、渋い顔をして苦虫を噛み潰してしまったかの表情だ
それ以上、男はこちらを向く事はなく…
俺も喋ることはなかッた
 
 
 
 
 
 
 
 
―――アクスヘイム、郊外
 
『お前の事は、数日間とはいえ俺が保護者の扱いだ。更なる罪を重ねる事だけは、するなよ』
城塞騎士の男は、人の寄り付かない廃材ばかりが並ぶ場所に
数日間泊まることを決め、俺を直ぐに自由の身として
アクスヘイムの最下層の町中へ放り込み、姿を隠した
「…不用意だ、なんて思うのもきッと野暮なんだろうなァ。どッかで見てるのも、お見通しだぜ」
流石に、全く知らない場所を全く知らない人の中、たッた1人で歩くのは
どんなに強がッたとしても……怖かッた
バルカンを傍に従えて、何処とも想像出来ない場所を
ふらり、ふらりと気まぐれに歩いた
「おィ、紅錠……?」
紅錠と名付けたバルカンが、不意に引ッ張るような仕草をする
どこかに連れて行きたい、そんな風に見えた
 
「…へェ、いつの間にかお前も俺に似たのかねェ」
紅錠に連れられてたどり着いた場所は、ぼんやりと古い書物の匂いがする
どうやら本を扱ッている、図書館のような役割を果たしている場所であるようだッた
『にゃー』
紅錠が軽い身のこなしで、建物の中へ消えていく
その姿を慌てて追ッた俺は、気持ちの整理も何もつけないまま幼い日の出会いを果たす
 
 
 
 
「……く、くじョう?」
建物の中は、見た目以上に大きく広い空間だッた
薄暗く、ドロースピカの光すら…あまり調節されていないようで
明るいかもしれないと思えるような幽かな明かりしかそこにはなかッた
『………』
ほとんどが暗いこの場所で、淡く光るスピリットがバサバサと頭上を飛ぶ気配
くるり、くるりと旋回して、ある特徴的な白い存在の帽子の上に音もなく着地した
留まられた主は、言葉を発する事なく、黙々と本を読む
俺は不意に、ファルコンの輝きで照らされたそいつの近くに
闇に溶け込んだ紅錠の姿をみた
 
「なァ…此処はお前の場所かァ?お前の近くの星霊、俺様の何だけどよォ……近くに取りにいッてもいいかねェ?」
ファルコンとその主は、少しばかり高い場所に居た
脚立とも、梯子とも言えない狭い場所の上にちョこんとすわッている
『……』
白い存在は、本に読みふけッたまま応えない
もしかしたら、ただただ集中力が凄すぎて聞こえていないだけなのかもしれなかッた
 
『ぜぇーるぅーがぁーーー!!』
とりあえず、紅錠を抱えて問答をいくつかしてやろうと
考えていた矢先、間延びした小さい子特有の声が、白い存在を脚立から思い切り突き飛ばした
視界から消える白い存在、羽ばたくファルコン
 
『……そうじ、おれは……どくしょちゅう、だけは、じゃましてほしくない、…そう、いったはずだ』
切れ切れに、ぼそぼそと、先ほどの声よりは低い声が応える
突き飛ばされた側がゼルガ、突き飛ばした誰かは、ソウジという名なのだろう
『だってぇぇー、ぜるがーがほんよむと、ながすぎるんだものぉー!それとぉー…さっきから、しらないおともだちが、あそこにいるだよぉー?』
 
飛び上がり、旋回を続けるファルコンのお陰で
ソウジとゼルガと呼ばれた2人がどんな様子なのかを見て取る事が出来た
「……ともだち、とかか?邪魔しちャあ悪かッた、かねェ?」
紫髪の赤い眼、バンダナと大きな二又尻尾が特徴的な小さな少年と
何処までも白い服と怖いものに噛まれた帽子、青い目の少年。
『……べつに、かまわない』
自分の読んでいた本と、次に読もうと思ッていた本を吹き飛ばされたゼルガは
寡黙気味に返事をして、のそのそとスローペースで本を拾い始める
『ぜるがー…ひとみしりっていうんだっけ、とっても、すごいんだぁ。だから、こんなぶっちょうずらなんだよー?』
『ことばのいみを、しらない、だろ……そうじ。』
寡黙と楽天家は、淡々と会話していた
その後も、ずッと終わらない会話をしていたが、俺は何も言わずただそれを眺めていた
「お前ら…面白いのな、明日もまた、此処に来てもいいかァ?」
『……』
『もちろんだよぉー、ほんがすきなのか。ぼくとあそんでくれるのかで、ぼくのげんきがじょうげするんだけどぉー』
 
 
「俺様ァ……ライソウル。ライ、で構わねェぜ。…そ、だなァ、俺は本も好きだが遊ぶのも、多分、好きだぜ」
その時、俺は見た
暗がりで、やや目が慣れてきたと思ッていた矢先
ソウジの紅い目に映る、一つのエンディング
 
白い髪、気だるそうな小さな女が
仮面をつけた大量の鼠たちに………
 
「最後に一つだけ。……なァ、ソウジ。お前…姉とか、居たりするかァ?」
バルカンを抱えて、元来た道をふらりと歩き始めてポツリと尋ねる
『んー?どーしてわかったのぉー?いるよ、いるいる。ねてばっかりのおねーしゃんがいるよぉー』
手をふらりと振ッて、何も言わず俺はその場を後にした
見えた終焉は、きッと…数日以内に起こる事だろう
 
 
 
『…なんだ、お前、律儀にもどッて来たのか。城塞騎士と一緒に寝泊りだなんて、捕まる輩がすることじゃないっていうのに。お前、変わりモンだな。』
俺を迎えた男は、呆れた表情を崩す事はなかッた
男が始終携えていたハルバードが、不気味なほど煌いていた…そんな静かな夜だッたのを覚えてる
「……なァ、おッさんは、『エンドブレイカー』ッて奴を信じる派?」
バルカンの頭を撫でながら、ポツリと問う
男がエンドブレイカーなのか、違うのか
それだけが、今の俺には捕まり投獄されることよりも気がかりだッた
『……お前、見えるのか?』
少し、驚くような返事
しかし、俺様には直ぐに分かッた
この城塞騎士のおッさんは、エンドブレイカーである、と
 
「俺様が投獄になるのは、いつの話だァ?……俺が自由を失うのは、何日後?」
おッさんの話を一方的に打ち切り話を続ける
聞きたいのは、ただ一つ
『明後日の午後、だ。今日を含め、あと2日と半日といったところか』
「そう、か……」
愛用する灰色のコートを布団代わりに、エンディングを迎える日が自由である内であッて欲しいと
自分らしくはないが…
思う俺様だッた
 
 
 
『あ、らいがきたぁー。こっち、こっちだよぉー!』
昨日来た、図書館とも呼べる場所の前で
元気にぴョこぴョこと跳ねながら、ソウジは俺の名を呼んでいた
やや後ろで、他の方向を向きながら本を読む白い男
流し目が、ひたすら無言でこちらを見ている
「よォ、朝も早くから元気なモンだねェ…?昨日会ッたとは思えねェや。ソウジ、お前が持ッてるソレッて何だァ?」
ソウジが持ッていたのは、紅くて、丸い何かのケース
何かの本には化粧をするための道具だと、書いてあッた…気がした
『ぼくとなかよくしてくれたひとには、これ、描いてあげるんだぁっ』
『……ぺいんと。きれいな、みずであらえば…すぐにおとせる。むかし、おれも……さんざんやられた』
 
「そーかそーかァ。なら俺様をカッコよく彩りたいッてーんだなァ?おォ、いいぜ。また会ッたときにも俺だッて分かるようにやりたいように描いてしまいなァ」
なんとなく、二つ返事で許可をした
もう2人とも会うことはない、ハズだ
…彼らと親しく話したことの思い出として、思い出を刻むのも良いだろう
『どんなもようがいーい?ぼくは、かためのしたに◇なの。おねーしゃんはかためのしたに▽だねぇ』
「お前のねェーちャんとは会ッてねェけど…両目の下に▽ッてのはどうかねェ」
『わかったー!ぼくのてんさいてきなさいのうに、びっくりしないでよねぇ~♪』
ぺたぺた、と何処から取り出したのかソウジは俺の顔に筆でペイントを開始した
数分で完成したその模様は、今でもずッと続けている模様だ
 
 
その後、何をして遊んだのか…
実はあまり、記憶にない
ソウジの瞳越しに見たエンディングが…
迎えてはならないものだと、思えて仕方がなかッた
 
そして、別れ際に何を言ッたのか
それすらも、覚えていない
ただ、ゼルガに一言…
『…また、どこかの、まちかどで……おまえとあうひを、しんじる』
そう、言われたのが、忘れられなかッたことだけは
投獄されても尚、覚えていた……
 
次の日の朝、大量の鼠の悲鳴を目覚ましに聞いて飛び起きたが……
その話は、また別の話
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HN:
ゼルガ
性別:
男性
趣味:
読書
自己紹介:
弓を愛する、白い獅子。
帽子を愛する、白い狼。
同居人、黒い犬。


白の住人は、気まぐれ無口
…喋るときは良く喋るケド。
唯一共通するのは
両耳の一対の紅いカフス。

黒の住人は、気まぐれ遊び
戯れに、そして、戯れに。


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