風がやんでしまったら

靴音鳴らして、風に靡く髪を押さえつけて
少し歩みを止めてみて

楽しい楽しい夢の続きに
想いを馳せて、声の限り謳おうか
夢が消えて、なくなる前に

廃墟の猫、箱庭の花
どちらの時間もこれ以上加速することはない。

空想を思い描くなら
どこまでも最適な環境とも言える。

不意に煙草に火を灯して
煙を視線だけで追いかけて
じッくりと、これからの夢を見るのも
今までの夢を見るのも
誰にも留めることは出来ない。

…そう。
俺が唐突に歩みを留めてしまッたとしても。
誰にも留めることは、出来ない。

暫くは、この煙の様に
ぼんやりと、気儘に眠り続けてみようか
……誰かが唱える俺の名を、聞き落としたりしないよう
意識を飛ばしながら、ゆるりと。ゆるりと。