平和な日

特になにもない昼下がり。
あくびを噛み殺して、あいつの読書姿を見ていた。

面白みのない、不動の姿。
むしろ、何故身じろぎもせず読書ができるのか。
俺にはイマイチ理解できない。

個人的には不動でいるより、談話しつつの方が好きだ。
本への興味より、相手に興味があるッつーのは俺の中でよくある話。


「……俺を見ていたところで、何一つ面白くないぞ」

ぺらり、ぺらりと無機質に本を捲る中で声が返ってくる。
こいつの顔に何の感情も書いてないのは昔から。
だけど、そんなことは知ってた。
見ていたところで、何一つ面白くはない。
ただ、話しかければ言葉を返してくるから、無性にからかいたくなる。

『べーつーにーィ？お前の読書の邪魔して遊んでるだけだぜ？』

本を読むアイツをただ、俺は見てるだけ。
アイツは俺の暇つぶし攻撃に律儀に答えを返すだけ。

無意味な時間といえば、その通りだと思う。
平和な時間を過ごせるほど、信頼があるといえば、まァその通りだろうけどな。