…驚。

（ぺらりとページをめくり、書き覚えの無い日記を見つけた）
…。
……。
……………そのうち隙を見て仕返しするからな…覚えてろよ…(ぽつりと)




―ふわりと桜の花びらが宙を舞う。
それは風に揺れて、ひらひらと…絶え間なく続いていく。

明るい色で埋め尽くされた木下で、メジロの鳴き声を聞いた。
鬣に降り積もった花びらが、ひらひらとページの間に吸い込まれる。
『メジロが歌えば、×××は謳う』…そう、書かれたページに。

…奪。

（ゼルガではなく、ある『誰か』によって書かれています）
（…それは客観的で、『誰か』の言葉たち）

花びらのワルツ

さすらう風に何を思うか。
…俺には分からん。
ただ……俺が照れ屋になり始めたのは、俺（背後）の心境の変化もあるのだろう。
風がやたらと強く、狼が近くに潜んでいることに気づかないなんてな…。
「…普通は、春だなぁって思うんじゃないかなぁ、少なくても俺はそう思うよ」

……。
(ぷいっと顔を背け)見ろ、俺は疲れをためているようだ。
そらの近いこの丘に、狼はいない。
…幻覚を見た上に幻聴まで聞いたようだな。

「…なんだよぉ。無駄に憂鬱そうだから様子を聞きに来たのに。
これでも学生は忙しいんだけどなぁ？」
(深く溜め息をついて…)…俺のこれは、年下のお前から見てそう思えるのか。
だが…俺には何も分からん。
「…獅子さん、隠れ照れ屋さんなんだよね。
だったら。もう少しだけ、素直になったほうが…楽になるんじゃない？」
………助言として貰っておく。
『優しさとは何か』と不覚にも悩んでしまった俺に、狼はそう語りかけ、見失った。


……雨風に濡れて湿った鬣が、俺の眠りの深さを物語っていた。
あの狼に会ったのは、果たして『ユメ』だったのだろうか。

…４×４ピン。

どうも、狼姫ですっ！
この場所は俺がジャックしたぁ…！
…俺の占領スペースだけは、絶対に譲れません…！
それはそうと。
この場所に初めて出てきた気がしますよ…(汗


最近やっていたことといえば……(狼姿で)お昼寝でしょうか。
…寝る子は育つという言葉も在りますし、現に俺は成長期ですし？(何
……それにしても。
白獅子さんはー…此処でかなり自由を過ごしてますねぇ…。
でも…俺(と背後)は結社でその上を行きますけど…？

…そして。

（２０日：１６時頃）

賛成72、反対0……。
ダイウルゴス文明は、コルドフリード艦隊の併合を決定する。

コルドフリード艦隊自体は、ダイウルゴス文明への合流に値しない。
されど『最終撃滅砲』は、新人類文明が使用する場合においてのみ、必殺の威力を誇る。
故に、ダイウルゴス文明全体の意思決定速度を多少減する結果になろうとも、
新人類文明の戦力を削ぐ先制攻撃は必要である。
そして、これを成功せしめたとしても尚、我等の勝機が万全であるとは言えぬ。

フロンティア・ラインを展開せよ！
敵の予知反撃を受ける前に、先制攻撃を完了するのだ。

（同日：１７時頃）
 

 ～遥か上空、コルドフリード艦隊にて～


「あれは、何だ？」
　ゲート転送によりコルドフリード艦隊を訪れていた冒険者が、虚空のドラゴンロードを見上げ、違和感に声を上げた。
　ドラゴンロードから、白いさざ波のようなものが放たれたのだ。
　その波は瞬時に近づき、艦隊へと浸透した後、何の衝撃も無くかき消えた。

　首を傾げた冒険者だったが、すぐに気づくこととなる。
　その波……文明侵略衝撃波『フロンティア・ライン』の正体に。

「ば……馬鹿な！」
「戦艦が、ドラゴンに変形していく！」
　冒険者達が呆然としているうちに、多数の空中戦艦からなるコルドフリード艦隊は、１隻また１隻と奇妙に歪みねじれてゆき、遂には、「ドラゴン」とでも形容する他無い存在に、変貌してゆく！

「無事な艦隊を地上へ避難させて！　早く！」
「深追いはするな、急いでこのことを地上のみんなに！」
　瞬時にドラゴンウォリアー化して難を逃れた冒険者達を尻目に、ドラゴン戦艦達は上昇してゆく。
　主たる『ドラゴンロード・ダイウルゴス』と一つになるために……。