いつかあの空へ…
TWの片隅で不定期に更新予定。ある獅子の記録…。
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おもかげ
…知らぬことを知るために
俺はあいつと、出会わなければならない
………いや、そんなのは嘘だ
はじめから、うっすらと知っていた
…そう、俺はこれを渡そうと思っていたのだから…
今宵は…
道が凍り、その冷気の影響で
俺の好きな空が氷のように澄み渡っている…
以前、相棒は俺に言った…
「満月の夜に見る水鏡には、不思議な力があるのだ」と
自分で見たわけではないので
…いまいち信用ができないのだが…
俺が信じないわけにはいくまい
…冒険を終えた旅人の俺は今でも真実を追ってふらついている
本当か否か、それが真実であるかどうかを確かめる為に
…そして、これを渡すために俺はこうして此処に来たのだから
水鏡は澄み切った空と星とを映していた
初めに映って見えたのは俺の顔…勿論当然のことだ
…ふいに、水面が揺らぐ
次に焦点が合ったときには…
いつかユメで見たことがある、あいつが鏡に映っている
相棒は確か……狼姫と呼んでいたか
『ふふっ、そのとおりですよぅ。
…じゃあ、あなたが、彼の言っていた相棒さんなんですね』
楽しそうに笑う少年…
傍から見たら俺はどうみえるのだろう…
水鏡を見て独り言を呟いてみえるのだろうか…
それにしても…本当に良く似ている
俺がソルレオンに生まれなかったとしたら
きっと、お前に良く似ていたに違いないな…
『ふふっ、似た者同士とは良くいいますけど、ちょっと似すぎでしょうか?
…そうだ、あなたも、俺に用事があったのでしょう?』
そうだった…
語りあうのが目的ではなかった
俺が狼姫を呼び出して…
水鏡を隔てて逢うことも最後になるだろうから…
『………それ、ですねぇ』
狼姫は、ふと、俺の手元を指差す
どうも…俺が何をしようとしていたのか感づいたらしい
姿は俺に似ているが…内面的には相棒に似て
……誰かの想いを読み取るのが得意な奴なのか?
……そう、俺はこれを渡そうと思っていた
俺と永い時間を共にした、この紅いカフスを…
そして……
『今、現在、戦いの場に命を賭けている俺に、あなたの気持ちを……
バトンタッチしようって思ってるんでしょう?』
微笑んでいた少年・狼姫は薄く笑った
『……ふふっ、そのバトンだけは、何があっても
受け取るわけにはいきませんねぇ』
銀色の髪を靡かせて、狼姫は去り行く…
『あなたの気持ち、想いは俺なんかに譲れるものじゃないハズでしょう。
そして、あなたは気が付いていないでしょうが、
俺は…あなたからはすでに1つの志を受け取ってるんですよぅ?』
完全に姿を消した狼姫の声が…
凍る夜空の中で風に溶ける
『あなたの想いはただ1つの真実として…
俺という存在に姿を変えているのですから』
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プロフィール
HN:
ゼルガ
性別:
男性
趣味:
読書
自己紹介:
弓を愛する、白い獅子。
帽子を愛する、白い狼。
同居人、黒い犬。
白の住人は、気まぐれ無口
…喋るときは良く喋るケド。
唯一共通するのは
両耳の一対の紅いカフス。
黒の住人は、気まぐれ遊び
戯れに、そして、戯れに。
狼姫荒哉(銀雨)
狼姫兎斗(サイファ)
帽子を愛する、白い狼。
同居人、黒い犬。
白の住人は、気まぐれ無口
…喋るときは良く喋るケド。
唯一共通するのは
両耳の一対の紅いカフス。
黒の住人は、気まぐれ遊び
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